ポーカーの店で誰かがオールインすると、ディーラーがポットのチップを2つや3つの山に分けることがあります。勝ったのに一部しかもらえなかった、という場面を見て戸惑う方もいるでしょう。
この山分けが「サイドポット」です。店ではディーラーが分けてくれるので、自分で計算できなくても困りません。運営者自身も、ふだんは意識せずに遊んでいます。
それでも仕組みを知っておくと、オールインしたときに自分がいくらまで取れるのかが分かり、ディーラーの分け方も目で確かめられます。本稿では、サイドポットの仕組みと分け方を、例題を使って解説します。
- サイドポットは、オールインした人が受け取れない分のチップを、別の山に分けたもの
- オールインした人が取れるのは、相手1人につき自分が出した額まで
- 店ではディーラーが分けるので、覚えるのは「自分が取れる額」と「分け方の見方」で十分
サイドポットは「少ない額から順に切り分ける」(結論)
ポーカーでは、手の途中でチップを買い足すことはできません。チップが足りない人も、持っている分をすべて出すオールインで最後まで勝負に残れます。
ただし、自分が出していないチップまで受け取るのは不公平です。そこで、オールインした人も受け取れる山を「メインポット」、それを超えて残りの人だけが賭けた山を「サイドポット」として分けます。違う額でオールインした人が多いほど、サイドポットが2つ、3つと増えることがあります。
サイドポットの分け方の3ステップ
- ステップ1:オールインの額を少ない順に並べる
勝負に残っている人が、それぞれいくら出したかを確かめます。 - ステップ2:一番少ない額×人数でメインポットを作る
一番少ない額を、その額以上を出した全員から1人分ずつ集めます。これがメインポットです。途中で降りた人が出したチップも、その額までの分はこのポットに入ります。 - ステップ3:残りで同じことを繰り返す
まだ残っているチップで、次に少ない額を同じように集めると、サイドポットが1つできます。オールインした人の数だけ繰り返します。
最後に1人だけが多く出していて、ほかに誰もその額まで出していない分は、勝負の対象になりません。コールされなかった分として、本人に戻ります。
例題:3人が違う額でオールインした場合
プリフロップで、400点を持つCがオールインし、100点しかないAと、250点しかないBがコールした(どちらもオールイン)場面を考えます。
| ポット | 金額 | 内訳 | 取れる人 |
|---|---|---|---|
| メインポット | 300点 | 100点 × 3人(A・B・C) | A・B・C |
| サイドポット | 300点 | 150点 × 2人(B・C) | B・C |
| Cに戻る分 | 150点 | Cの400点のうち、Bの250点を超える分 | 勝負の対象外(Cに戻る) |
Cは400点を出しましたが、Bの250点を超える150点は誰もコールできないので、勝負の前にCに戻ります。勝負の対象になるのは、2つのポットの合計600点です。
| 一番強い役の人 | メインポット(300点) | サイドポット(300点) |
|---|---|---|
| Aが一番強い | Aが受け取る | BとCのうち強いほうが受け取る |
| Bが一番強い | Bが受け取る | Bが受け取る |
| Cが一番強い | Cが受け取る | Cが受け取る |
Aが一番強くても、受け取れるのはメインポットの300点だけです。Aが100点しか出していないため、BとCが150点ずつ上乗せした分は、Aには関係のない勝負になります。
自分が取れる額の目安
自分がオールインしたとき
自分が受け取れるのは、相手1人につき自分が出した額までです。100点でオールインして2人にコールされたなら、勝っても受け取れるのは自分の100点と相手2人分の200点、合わせて300点です。相手同士がそれ以上賭けても、その分は相手同士の勝負になります。
相手がオールインしたとき
自分のチップのほうが多い場合、オールインした相手に負けて失うのは、相手が出した額までです。残りのチップは、ほかに勝負に残っている人とのサイドポットで決着します。相手1人だけとの勝負なら、相手の額を超える分は誰にもコールされないので、自分に戻ります。
迷いやすい3つの場面
- 1. コールされなかった分は戻る
誰もその額まで出していないチップは、勝負の対象になりません。大会で広く使われているPoker TDAのルールでも、コールされなかった額は本人に戻すと決められています。 - 2. 途中で降りた人のチップはポットに残る
降りた人が出したチップは戻らず、ポットに入ったままです。メインポットに入る額か、サイドポットに入る額かは、出した額で決まります。降りた人は、どのポットも受け取れません。 - 3. 引き分けはポットごとに分ける
同じ強さの役で引き分けたときは、ポットごとに分けます。メインポットだけ、サイドポットだけが引き分けになることもあります。割り切れない端数のチップは、Poker TDAのルールではボタンの左に近い人に渡します。扱いは店によって異なることがあるので、店のルールに従いましょう。
Poker TDAのルールの例では、サイドポットのほうから先に勝負を決めて配り、最後にメインポットを配ります。分け方に疑問があるときは、チップを受け取る前に、その場でディーラーに声をかけましょう。
ルールの原文はPoker TDAの公式サイト(英語)で読めます。もともとは大会向けのルールなので、リングゲームの細かい扱いは店のルールに従いましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q. チップが少なくてもオールインで勝負に参加できますか?
- A. できます。持っているチップがコールする額に足りなくても、全部を出せば最後まで勝負に残れます。勝った場合に受け取れるのは、相手1人につき自分が出した額までです。手の途中でチップを買い足すことはできません。
- Q. オールインした人がいるとき、残った人同士でブラフをしてもよいですか?
- A. オールインした人は降ろせないので、ブラフでその人を降ろすことはできません。残った相手を降ろしても、取れるのはサイドポットだけで、メインポットはショーダウンで決まります。初心者のうちは、オールインした人がいるときは「残った人同士では強い手でだけ賭ける」と考えれば十分です。
- Q. ディーラーの分け方が違うと思ったらどうすればよいですか?
- A. チップを受け取る前に、その場でディーラーに声をかけましょう。次のハンドが始まると確かめにくくなります。誰がいくら出したかを落ち着いて伝えれば、ディーラーや店のスタッフが確認してくれます。
- Q. トーナメントでも分け方は同じですか?
- A. 同じです。トーナメントではオールインが多いため、サイドポットが作られる場面もよくあります。チップが少なくなったときの戦い方は、トーナメントのショートスタック戦略|プッシュ&フォールド早見表で解説しています。
まとめ:仕組みを知れば、オールインの場面で慌てない
- 原則1:ポットは少ない額のオールインから順に切り分ける
一番少ない額×人数でメインポットを作り、残りで同じことを繰り返すと、サイドポットができます。 - 原則2:オールインした人が取れるのは、相手1人につき自分が出した額まで
それを超える分は、残った人同士の勝負です。コールされなかった分は本人に戻ります。 - 原則3:分けるのはディーラー、自分は確かめる
引き分けや端数の扱いは店のルールに従い、疑問があればチップを受け取る前に声をかけます。
サイドポットは、仕組みさえ分かれば難しいものではありません。オールインの場面でも落ち着いて、自分のチップがどこに入っているかを目で追えるようになりましょう。